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【漫画を模写する 】

 漫画を描く人なら誰でも、自分の好きな漫画に登場するキャラクターを真似して描くぐらいのことは、やったことがあるのではないかと思います。
 上手な人の真似をするというのは、技術を習得したりする際の基本ですから、それ自体はまったく悪いことではないです。

 ただ、”好きなキャラクターを描く”、というところが、”好きな漫画家さんのような絵を描く”ということに変化していくと、少し危険になります。
 そうなると、自分の絵を上手に描く、というよりも、自分の絵を誰かの絵のように描く、というような方向へ行きやすくなってしまうからです。
 悪くするとその人の絵は、その人が好きな漫画家の絵のコピー、というようになってしまいます。

 プロの漫画家と同じような絵を描けるならプロに近づくということで、それの何が悪いのか、という考え方もあるのではないでしょうか。
 確かに、プロに近い絵を描けるようになることは、一種の上達です。上手くなっていることは間違いありません。
 しかし反対に悪い言い方をすると、どこまで行ってもそのプロのモノマネのそっくりさんということになってしまいます。
 絵の独創性はほとんどないということになってしまい、その作者さんだけしか持たないものはその絵にはない、ということになります。

 そういう危険性があるので、プロの漫画の模写をすすめないという人もいます。
 ですから、これから自分の漫画の独創性を高めていきたいと考えている人には、漫画の模写はすすめません。

 ただそれでも、特に漫画の初心者にとっては、プロの漫画の模写によって得られるものが大きいのも事実ですので、ここでは模写する際のポイントをいくつか紹介します。

 まず模写したい作品が掲載されている雑誌を準備します。
 単行本は小さく印刷されているので、あまり模写には向きません。

 ノートなどに模写しますが、その際は鉛筆ではなく消すことのできないペンなどを使ってください。
 模写するのは”絵”ではなくて”漫画”です。絵の細かいところまでを真似する必要はありません。
 模写するのは、コマ割り・絵の構図・人物のポーズ・人物の表情です。

 すべてのページのそれらを、模写する漫画をお手本にしながら、ノートに描いていきます。描きたくないページなども、はずさずに描いてください。
 絵の細かいところには、気を配る必要はないです。全体のおおまかな感じを、描いていきましょう。
 定規などを使う必要はないので、すべて手だけで描いてください。背景も、ある程度は描きましょう。
 やり直しのきかないペンですから、自然と目でページ全体をとらえるようになっていくと思います。

 量の目安としては、好きな漫画を作者を2人以上変えて、200ページくらい模写すれば十分です。
 コマ割りの仕方、セリフの吹き出しの描き方、それらと構図のバランスなどの基本が、自然に身に付くと思います。
 一人の漫画家の漫画だけを模写するのは、癖が移って強くついてしまうので、やめてください。

 以上のやり方は、漫画をほとんど描いたことがないような、初心者などにおすすめです。
 最後にもう一度繰り返しますが、絵を模写するのではなく、漫画を模写してください。


 いわゆる”漫画絵”を習得するのに、好きなプロの漫画家の絵の描き方を研究するのは、悪いことではないです。
 漫画の絵には、漫画独特の表現法もあって、それらの中には真似をすることでしか習得できないものもあります。いわゆる、”お約束”と呼ばれるような、決まったやり方もあります。

 それらを含めてペンの線の引き方や、ベタの塗り方、トーンの使い方など、細部の表現法を真似することも、ちゃんとした学習です。
 ただその際、あまり一人の漫画家に執着するのはやめましょう。
 真似をするにしても、何人かの漫画家の表現法を試してみて、自分に合うような表現法をしっかり見つけるべきです。

 自分の好きな漫画家の表現法が、必ずしも自分に一番合っているとは限りません。


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