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【記号その1】

 文章を書く際に使われる記号を説明します。
 なお文章記号を、印刷用語から「約物」と総称することがあります。

句読点(くとうてん)

 句点とは”。”のことで、一文の終わりに打つ記号です。

 読点とは”、”のことで、一文の中で語句の断続を示すために、打つ記号です。
 読点という名前が示すように、読むときのリズムを調節することもできるため、あまり多すぎても読みにくいですし、少なすぎてもまた読みにくくなります。

 また読点は、打つ場所によって文章の意味が変わってくる場合もありますので、注意が必要です。
 次のような場合は、読点を正確に打たなければなりません。

例1:私は寝ぼけながらも吠える犬を見つめた。
例2:私は、寝ぼけながらも吠える犬を見つめた。
例3:私は寝ぼけながらも、吠える犬を見つめた。
例4:私は、寝ぼけながらも、吠える犬を見つめた。

 ときどき横書きの文章で、句読点の代わりに、ピリオド”.”やコンマ”,”を使っているものを見かけますが、日本語の文章としてあまりに無様です。
 まねをしないようにしてください。


括弧(かっこ)

 いくつか種類があり、丸括弧”()”・かぎ括弧”「」”・二重かぎ括弧”『』”・山括弧”<>”などが主に用いられます。


 丸括弧は、直前にでた言葉の注釈を直後に書き込んだり、また時には人が胸の内で考えていることを表記する場合などにも用いられます。
 加えて特にウェブでは、難しい漢字や人名の読み仮名を表記することもあります。

例1:
 どうしてもそのメタファー(隠喩)としての存在が重要なのだ。
例2:
 断りはしたものの、彼は内心で彼はまだ悩んでいた。
(本当にこれでよかったのだろうか)
 しかしいくら悩んでも、すでにあとの祭りだ。
例3:
 田中一郎(でんちゅうかずろう)は、あくまでも韜晦(とうかい)した。

 どれにしても、小説などではあまり目にしない記述の仕方です。
 特に例2の方はあまりすすめられません。
 例3は、特にいわゆるオンライン小説での人名などには、読み仮名の注釈として用いたほうが読者に対して親切なようです。
 一般的な読みとは異なる名称や、当て字などを用いた作中に限る固有名詞などにも、丸括弧を用いて読み仮名を付記した方がより親切でしょう
 


 かぎ括弧は、特に登場人物の発言を書く場合に多く使われます。他には引用や特別な用語を強調するような時にも使われます。

例1:
 彼女は手を振った。
「ごきげんよう」
 そう言って、あとはただいつまでも手を振り続けた。
例2:
 その古びた和紙にはたった一行、「東の蔵を掘れ」とだけ書いてあった。
例3:
 荷電粒子を加速する装置「サイクロトロン」は、重イオンを加速する実験を行っている。
例4:
 次の瞬間、二人はやや青ざめた顔で「滅びの言葉」を叫んだ。


 人物の発言を表記する場合の句点の使い方には、2つの表記法が混在しています。

例1:「ありがとう。そしてさようなら」
例2:「ありがとう。そしてさようなら。」

例3:
彼は別れ際に、
「ありがとう。そしてさようなら」
と言った。
例4:
彼は別れ際に、
「ありがとう。そしてさようなら。」
と言った。

 例1と例2を比べた場合、現在の小説では例1の方が圧倒的に多数派ですので、そちらが標準と言っていいでしょう。
 ただし、例2も少数ながら現在も使われている表記法ですので、単純に間違いとはいえません。昭和中期までの国文学には、特に多く見られます。
 例えば例2の表記法の場合は、人物の発言かそれとも何かの単語なのかという区別が、句点のあるなしで判別できるという利点もあります。

 例3と例4のような表記法を比べた場合は、例4の方は間違えだと判断すべきかもしれません。一文なのにもかかわらず、句点が2つ見られるからです。
 しかし逆に考えると、例1は一文であるのに句点がないため、厳密には間違いとなるかもしれません。

 文法としては、実はかなり曖昧な部分です。


 二重かぎ括弧は、誰かの発言の中でさらに他の誰かの発言を引用する時などに使われます。また、書籍や著作名、映画や楽曲の題名、特定の商品名などの固有名詞を表す場合にも多く使われます。
 加えて多くはありませんが、丸括弧と同じように、口に出さない心の中の言葉を表記する際にも用いられることがあります。

例1:
「あいつが『今日は晴れるから傘はいらない』というから傘を持たずに出てきたのに、この始末さ」
例2:
 ミニディスクの再生機から、原盤の雑音までを電子記号に変換された『my way』が流れ始めた。
例3:
『なんて美しいんだ』
 彼は喉まで出かかったその言葉を努力して飲み込んだ。

 二重かぎ括弧は、かぎ括弧の補助的な役割をするものと考えていいでしょう。


 山括弧”<>”は、二重山括弧”≪≫”・亀甲”〔〕”・隅付きパーレン”【】”・大括弧”[]”・中括弧”{}”などと同じく、特殊な使い方をします。
 論文などならともかく、小説ではそれらを使うことはほとんどないでしょうから、ここでは省きます。
 あまり使われないために、多少ルールに反するような使い方をしたとしても、とりたてて問題とされることもないでしょう。
 

 なお、”はダブルクォーテーションと呼ばれアメリカ式英語でのかぎ括弧にあたる記号です。横書き専用の記号ですので、通常は使用をおすすめできません。

疑問符(ぎもんふ)と感嘆符(かんたんふ)

 疑問符”?”はクエスチョンマークとも呼ばれ、主に人物の発言の末尾につけて、疑問の意志や問いかけを表すものです。

例1:
「どちらの庭が大きいんだ?」
例2:
「おはようございます。朝食をおとりになりましたか?」
例3:
「犬の散歩に? そんなこと言ったって、犬なんて飼っていないじゃないか」
例4:
「それってだれのこと?、私?。」

 例3のように、疑問符のあとは一文字あけて、スペースを入れます。あとにかぎ括弧が続く場合はあける必要はありません。
 また、例4は間違いです。疑問符の後に句読点は必要ありません。


 感嘆符”!”はエクスクラメーションマークとも呼ばれ、主に人物の発言の末尾につけて、叫び声や強い意志などを表現します。

例1:
「危ないからそこから離れなさい! 実はそこの床は腐っているのです」
例2:
「本当だよ! 合格だったんだよ!」

 疑問符と同じく、例2のように感嘆符の後ろは一文字あけます。また感嘆符の後に句読点は使いません。

 ”!?”や”!!”など、疑問符や感嘆符をつなげて書いたり、2つで一文字にしたりして表記していることがあります。
 これは漫画での表現で、小説では今のところ正式なものではありません。
 ただそれらを使用することがある、いわゆるライトノベルが一般に広がっているため、表記法として認められるのもあまり遠くないかもしれません。

 英語には比較的新しい記号ながらも、”!?”が一文字とされたものがあり、日本では感嘆修辞疑問符と呼ばれています。
 !と?を一文字に合成した記号を使用することもあるようです。日本語環境では、出力するのがかなり難しくなっています。

 ”!!!!”や”!??”など、記号を重ねて感情の大きさを表すことは、安直ですので、おすすめしません。
 そのような感情がどれほど大きいかを、文章をつづって表現するのが本来の小説というものです。
 記号での表現に頼れば頼るほど、その小説は薄っぺらなものになって行くでしょう。


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